同業他社のやり直し、浴室(ユニットバス)の特殊清掃(東京都府中市)
- 特殊清掃作業実績
ここで依頼者のユーザー側としての問題点は、2度も特殊清掃の料金を支払う羽目になることと、やり直し作業を含めると作業期間が長くなるので、場合によっては更に余計な家賃を負担する場合もあります。また工期が長いと不動産管理会社や家主様から圧力の高まりを感じることとなり、精神的にストレスを抱えることになります。
特殊清掃業者側の問題点は、施工技術が無いから同業他社にやり直し施工される訳です。
1度あることは2度あると言うように、今後も同じような被害者が増える原因の特殊清掃業者となる可能性大で、悪い噂が広まれば今後の仕事の受注に大きく影響あると思います。
そこで今回の東京都府中市の浴室の特殊清掃現場では、単に特殊清掃のやり直し施工した経緯を報告するだけでなく、どんな施工が問題で、何か所の問題点あったのか?
同業他社ではあまり公開されていない作業ミスまたは手抜き作業の実態を執筆したいと思います。

ユニットバス(浴室)の特殊清掃を苦手とする同業者が意外と多い!
今回はユニットバス(浴室)の特殊清掃やり直しは、相続人(息子)より作業依頼を頼まれました。
相続人に詳しく話を伺うと「もう2ヶ月も特殊清掃の完全消臭の仕上がりを待っています。最初に依頼した特殊清掃業者には3回、作業のやり直しをしていただいたが、仕上がりを確認する度に不動産管理会社から合格ラインの仕上がりでは無い。まだ少し臭いがする。」と言われてしまいますとの事。
ユニットバスの場合、最悪を考えてもし交換するなら一般的に70万∼150万円くらいとなり大きな出費となるため、ほぼ99%くらいの現場が清掃技術を駆使して事故前の状況まで復活させます。
そのため、床上フローリングの特殊清掃と比べた場合、臭いが付着した箇所の解体作業や塗装によるコーティング作業が無いことで、物凄く清掃技術の比重が高くなり、普段から清掃技術を磨くことを疎かにしている特殊清掃業者は、ユニットバス(浴室)の特殊清掃が苦手な分野なのです。
臭いが残る原因の多くが手抜き作業
同業他社がどんな施工を行っているのか? もちろん自社では知らないことなので、同業他社の作業ミスや手抜き作業を考えながら、完全消臭にならない原因を探っていきます。
まず1番最初に目を付けた場所が便器です。相続人に話を伺うと「亡くなった場所は浴槽内ではなく、トイレの前の床なんです。」と聞きました。
もちろんこんな状況では、作業に精通している特殊清掃業者なら便器を取りはずして、フランジのあたりまで汚染されていないか? 確認するのですが…
便器取り外し前
便器取り外し
便器のフランジ付近は全く清掃されていない
便器のウラとフランジは全く清掃されていませんでした。鼻を近づけると、かなり臭いがします。
亡くなった場所の近くなのに「便器の下に体液が付着した蛆が入り込むかもしれない。」なんて想像しなかったのでしょうか?
私の経験談で言うと、ユニットバスの大半の特殊清掃は必ずと言っていいほど便器の脱着を必要とします。
この箇所は作業ミスでは無く、単に手抜き作業と言っていいでしょう。
便器の死角も全く清掃されていない
画像を見ていただくと分かりますが、便器の死角も清掃されていません。ここも作業ミスでは無く、単に手抜き作業と言っていいでしょう。
便器のウラ
便器の死角
便器のタンクのウラ側も全く清掃されていない
便器のタンクのウラ側も全く清掃されていません。これも手抜き作業と言っていいでしょう。
便器タンクの裏側
便器タンク
浴槽の色素沈着と換気扇も清掃されていない
浴槽内で亡くなった訳ではありませんが、おそらく体の一部が浴槽に接触していたのでしょう。こんな時は浴槽に脂分が染み込んでしまい、通常の清掃では脂分が落ちません。さらに色素沈着された箇所に鼻を近づけると、ほのかに死臭が漂います。
また換気扇も確認したところ、カバーのみを清掃しただけで、換気扇本体は全く清掃しておりませんでした。
浴槽の色素沈着
換気扇
浴槽の色素沈着の落とし方
この浴槽の色素沈着の落とし方を苦手とする特殊清掃業者が非常に多いです。したがって企業秘密の薬剤を使い、テッシュペーパーに漬け置きして一晩放置することだけはお伝えする。
色素沈着を漬け置き
テッシュパーパーで漬け置き
ユニットバスの床面も臭うので漬け置き
ユニットバスの床面も少々臭うので同じようにテッシュペーパーに漬け置きして一晩放置します。シミ抜きや消臭を絡めた清掃は焦って力づくでゴシゴシ擦って何とか早めに終わらそうなんて考え方は全く通用しません。じっくりと漬け置きする時間が多分に必要です。
フランジを漬け置き
床面を漬け置き
翌日に一晩過ぎた漬け置きの効果を確認
浴槽の色素沈着は漬け置きによって跡形も無く消えてしまいます。自社の企業秘密の薬剤は臭いもテッシュパーパーへ吸着して消臭効果もあります。
色素沈着が落ちた浴槽
浴槽
便器のウラ
フランジ
便器取付け
床面の消臭完了
特殊清掃業者の施工技術の事前確認は、これしかない!
今回の作業現場は大まかに5か所の問題点がありました。
- 便器を取りはずして体液等が付着したフランジや便器のウラを清掃していない
- ほのかに臭いがある浴槽の色素沈着を落としていない
- 便器タンクを取りはずして清掃していない
- 臭いが付着しやすい換気扇を分解洗浄していない
- 亡くなったトイレ前の床面を消臭処理されていない
以上はもしあなたがユニットバスの特殊清掃を依頼しなければならない立場だったとしたなら、特殊清掃業者に対してこの5つの作業スキルがあるのか絶対に確認した方が良い項目です。
その特殊清掃業者のウェブサイトの作業事例(作業実績)ページなどで、作業スキルがあるのか調べることや見積の際の会話で確認をして、その言葉が信頼できるのか是非見極めていただきたいです。
ここで気を付けなければならないことが、見積の際や電話応対の際の言葉だけの説明しか無いとしたなら、作業スキルがある証拠は無いために、施工技術の信用性が低いと考えるべきです。
そのため、あなたが選んだ特殊清掃業者のウェブサイトに掲載されている作業事例の実績を隈なく見渡す必要があり、この点を疎かにすると失敗する特殊清掃業者に当たる可能性が滅茶苦茶高くなります。
それだけ特殊清掃業者のウェブサイトには作業スキルの多くの証拠が詰まっております。
もしウェブサイト内の情報を隈なく探しても、あなたが知りたい特殊清掃のスキルの証拠である現場実績の記事が見当たらない場合は直接、特殊清掃業者に対してウェブサイトのどこにスキルを分かる情報があるのか聞くべきでしょう。
そこでそんな証拠の記事が無いとの回答だったなら、その特殊清掃業者は、あなたが求めている施工技術は無いと考えた方が賢明です。
決して特殊清掃業者の口だけの「できる」という言葉を信用しないことです。
なぜならこれを信じたばかりに、失敗する特殊清掃業者に当たったご依頼者さまが非常に多いからです。
最終確認
本作業が終わり、仕上がりをお客様(相続人)に確認していただきました。
「全く仕上がりが違う!臭いが全くしない!」と喜びの声をいただきました。
特殊清掃は、大工作業、塗装作業、清掃作業、消臭作業と何に対しても貪欲に学び続ける姿勢が大事だと思います。
ユーザーの期待を裏切らず、絶対に手抜き作業を行ってはいけません。
一人一人の特殊清掃員の技術が問われる業種です。
我々、特殊清掃員は毎日がご依頼者様の期待に応える施工を頑張りましょう。
因みに、この現場は最初に施工した特殊清掃業者が「ここまで作業したなら、完全消臭にはもうユニット交換しか手段が無い」と言っていたそうです。
幸いにして今回のご依頼者さまは、最初に施工した特殊清掃業者のその言葉を信じずに疑問を感じて私たちに作業依頼されました。
作業料金
参考までに、この現場の作業料金をお知らせいたします。
| ユニットバスのやり直し施工 | 195,000円(税別) |
|---|---|
| 合計 | 214,500円(税込) |



