床下浸水では火災保険が出ないのは本当?保証を受ける方法はある?
住宅に何らかの被害があった際は、多くの方が加入している火災保険を利用すれば、復旧費用を補償してもらえると考えるはずです。
しかし、一般的な火災保険では床下浸水は補償対象外となっており、実費での負担を強いられるのがほとんどです。
この記事では、なぜ床下浸水では火災保険が出ないのか、火災保険以外でもらえる可能性のあるお金、床下浸水の復旧作業にかかる費用などをご紹介します。
火災保険は床下浸水が補償の対象外となっている
前述の通り、多くの火災保険では床下浸水は補償の対象外となっており、保険金を受け取ることができません。しかし、条件によっては対象となるケースもあります。
では、なぜ床下浸水という大きな被害を受けているにも関わらず火災保険の対象にならないのか、その理由について解説します。
主な火災保険の補償条件
主な火災保険(水災補償)では、水害での補償条件を以下のように定めています。
- 床上浸水である場合
- 地盤から45cm以上の浸水がある場合
- 再調達価額の30%以上の損害がある場合
床下浸水で再調達価格の30%以上の損害が出るという計算にすることは難しいでしょう。
つまり、床下浸水で火災保険を受けられる可能性がある条件は、「地盤から45cm以上の浸水がある場合」のみということになります。
しかし、地盤から45cm以上だと床上浸水となっていることが多いでしょう。そのため、多くの床下浸水では火災保険の補償を受けられないのです。
なお、地盤から45cm以上の浸水がある場合は、保険会社の調査員が実際にスケールを持って高さを調べに来ます。
水位の跡で高さが出されますので、調査員が自宅に来るまでは外壁掃除などを行わないようにしましょう。
特約で床下浸水でも補償が受けられるケースもある
多くの床下浸水では火災保険による補償を受けられませんが、最近は床下浸水にも対応した火災保険も一部で登場しています。
たとえば、東京海上日動の「トータルアシスト住まいの保険」にオプションとして付けられる『特定設備水災補償特約』は、床下浸水でも一部の被害が補償されます。
しかし、補償対象は空調や冷暖房設備、給湯設備などのため、床下の清掃や除菌などの費用が補償されるわけではないので注意が必要です。
または通常、基礎の高さは40cm程度の戸建が多いのですが、中には基礎を高く50cm以上で建てられた戸建もございます。
この場合は、もちろん床上浸水とならない状態でも地盤から45cm以上の浸水があって火災保険(水災補償)に加入していれば保険を受けられる可能性が十分にございます。
床下浸水の被害でもらえる可能性のあるお金
床下浸水の被害だと、火災保険を含め一切の補償や支援がもらえないというわけでもありません。
行政による公的な支援では、「応急修理制度」や「被災者生活再建支援制度」などの数十万円から数百万円が受け取れる制度もありますが、これらは半壊以上の被害を受けていることが条件となっています。
そのため、床下浸水の被害でもらえる可能性のあるお金は、現状では以下の2つのみです。
災害見舞金
大規模な被害のあった災害などで床下浸水が起きた場合、自治体から災害見舞金(見舞金)を受け取れることがあります。
全壊もしくは半壊以上の被害があった場合に限られることもありますが、全体での被害状況によっては床下浸水も対象となるケースがあります。
床下浸水だと必ず受け取れるというわけではありませんが、お住まいの自治体にご確認ください。
義援金
こちらも大規模な被害のあった災害が起きた場合には、自治体を通じて義援金が分配されることがあります。
義援金とは、企業や一般市民から集まった募金のことで、集まった募金額を被害状況ごとに配分されるようになっています。
床下浸水のような「一部損害」に該当する被害でも義援金であれば受け取れる可能性があるため、こちらも自治体にご確認ください。
なお、災害見舞金と義援金を受け取るためには、り災証明書の申請が必要となります。り災証明書とは、被害の状況を証明する公的な書面で、市区町村によって発行されます。
施工会社への損害賠償
住宅を建築した施工会社による施工ミスが原因で、水漏れや結露が起きて床下浸水が発生した場合、施工会社へ損害賠償請求ができるケースがあります。
施工会社向けの生産物賠償責任保険(PL保険)という保険も用意されており、施工会社が実際に賠償請求を受けるケースもあります。
実際に損害賠償請求ができるのかはケースバイケースですので、こちらは弁護士にご相談ください。
床下浸水の復旧作業にかかる費用
床下浸水の復旧作業にかかる費用は、一般的な住宅で30∼60万円ほどです。
具体的な作業内容としては、排水と清掃作業・乾燥作業・消毒作業の3工程で行われます。
排水作業で床を剥がして作業をしなければいけない場合は、消毒作業の後に床の張り替えも必要になります。
床を剥がす必要があるのかは、住宅の設備や構造によって異なりますので、依頼する業者にご相談ください。
まとめ
床下浸水は、家の中からは実害をすぐには感じにくい被害ですが、そのままにしてしまうと健康被害や住宅の基礎部分の腐食など、さらに大きな被害へと繋がる可能性があります。
床下浸水だから急がなくてもいいと放置せず、素早い対応が被害を最小限に食い止める唯一の方法です。
床下浸水でお困りごとがありましたら、まずは当社マインドカンパニーにご相談ください。