入居者の孤独死や自殺が補償される3つの「孤独死保険」や「見守り+補償付」とは
- コラム
入居者が孤独死や自殺をすると、その物件はいわゆる事故物件として扱われるため、その後の家賃収入に大きく影響してきます。
またそれだけではなく、死亡から日数が経過すると遺体の腐敗が進行し、お部屋も凄惨な状況となります。原則として、原状回復費用は入居者の負担で行うものの、遺族が見つからない、遺族が拒否した際などは、貸主の負担で原状回復せざるを得ないというケースも。
そんな入居者の孤独死や自殺のリスクに備えられるのが「孤独死保険」です。
この記事では、「孤独死保険」と「見守りサービス+補償付き」について特殊清掃のプロ目線で詳しくご紹介します。
孤独死保険とは
孤独死保険とは、その名の通り孤独死によって生じた損害が補償される保険のことです。分類としては、損害保険として扱われます。
具体的には、孤独死保険では「孤独死の発生によって失ってしまった家賃収入」や「汚染物の撤去費用」、「物件の原状回復費用」などの損失に対する補償が受けられます。
前述の通り、本来であれば物件の原状回復費用は入居者および保証人(連帯保証人)が支払う契約になっているはずです。
しかし孤独死や自殺の場合、保証人や親族が疎遠だと「私には関係ない」と取り合ってくれないケースや、保証人と連絡がつかない、保証人がすでに亡くなっているなどのケースが少なくありません。
そうなると、貸主である家主や管理会社の負担で特殊清掃やリフォームを行わなければ、再度貸し出すことができないという事態に。
そこで、その損失を補償してもらえるのが「孤独死保険」です。
他の保険と同様に、あまり件数自体は多くないものの、1回の被害額が多くなりがちな入居者の孤独死に備えられるということで、加入する方が増えています。
また、孤独死の件数が年々増加しているということもあり、孤独死保険は近年ニーズが急速に高まっています。
孤独死保険には「家主型孤独死保険」と「入居者型孤独死保険」の2種類ある
そんな孤独死保険ですが、各種保険会社では「家主型孤独死保険」と「入居者型孤独死保険」という2つの形式で提供しています。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく見ていきます。
家主型孤独死保険
家主型孤独死保険とは、大家や管理会社が加入し、孤独死や自殺によって損害が生じた際に補償されるタイプの保険です。
詳しくは後ほどご紹介しますが、アイアル少額短期保険株式会社の「無縁社会のお守り」や、株式会社あそしあ少額短期保険の「大家の味方」などが家主型孤独死保険に該当します。
家主型孤独死保険の最大の特徴が、家賃損失に対する補償があることです。
孤独死が発生すると、特殊清掃やリフォームなどの原状回復によって物件を貸し出せない期間が発生し、事故物件になってしまったことで本来よりも賃料が安くなってしまうのが一般的です。
これらは賃貸経営にとって非常に大きな損失となるため、孤独死保険へと加入します。
入居者型孤独死保険
入居者型孤独死保険とは、補償内容に孤独死による遺品整理費用や原状回復費用が含まれている火災保険や家財保険のことを指します。
現代では、ほとんどの物件オーナーが入居条件として「火災保険や家財保険の加入」を設定しています。
その火災保険や家財保険を選ぶ際に、孤独死による諸費用の補償が含まれる保険を選ぶことで、孤独死に備えることができます。
ただし注意が必要なのが、入居者型孤独死保険は契約者(孤独死した故人)の相続人に対して保険金が支払われるということ。
相続人が不在の場合は保険金が支払われないため、家主や管理会社が代わりに補償が受けられる特約などがあるのかは要チェックです。
また、入居者向けの保険のため、家賃損失による補償も含まれていません。
保険料を支払うのが入居者のため、貸主としては負担なく孤独死に備えることができますが、すべてのリスクが回避できるわけではない点に注意が必要です。
孤独死保険のご紹介
執筆時点(2023年01月)で一般向けに提供されている孤独死保険を3つご紹介します。
1.無縁社会のお守り(アイアル少額短期保険株式会社)
アイアル少額短期保険株式会社が提供する「無縁社会のお守り」は、家主型の孤独死保険です。
1戸室あたり月々280円という保険料の安さながら、原状回復費用として限度額100万円まで、空室や家賃の値下げを80%保証など、充実の内容となっています。
また、物件内で死亡事故が発生したものの、上記の支払い条件に該当しない場合にも定額で5万円が補償されるのも特徴です。
1戸室あたりの保険料は、4~19戸室の契約で月額390円、20~49戸室の契約で月額340円、50戸室~の契約だと月額280円となっています。
4戸室以上からの契約で、所有するすべての物件で加入が必要となっています。
▶ 「無縁社会のお守り」について、詳しくはこちら
2.大家の味方(株式会社あそしあ少額短期保険)
株式会社あそしあ少額短期保険の「大家の味方」も家主型の孤独死保険です。
こちらは孤独死のみに対応した保険ではなく、火災や水害、落雷や水漏れなど、幅広い損害からのリスクに備えられます。
入居者が孤独死した際は、修理費用保険金として1事故あたり最大300万円まで、臨時費用保険金として修理費以外にかかる費用に対して1事故あたり20万円(殺人の場合は50万円)が支払われます。
保険料は、「月額家賃の1棟合計額(円)×1.22」と「1棟の戸室数×2,570(円)」を足した金額です。
ただし、「大家の味方」は代理店経由でのみの加入となっているため、ホームページ等での申込みはできません。
▶ 「大家の味方」について、詳しくはこちら
3.あんしん住まいるオーナー保険(エイ・ワン少額短期保険株式会社)
エイ・ワン少額短期保険株式会社のあんしん住まいるオーナー保険も家主型の孤独死保険ですが、行政関連団体向けのプランも用意されています。
「行政団体向けプラン」「物件オーナー・不動産管理会社向けプラン(居室単位)」「物件オーナー・不動産管理会社向けプラン(1棟単位)」の3つのプランがあり、それぞれで対象となる補償が異なります。
行政団体向けプラン…残存家財片付け費用、葬儀費用
物件オーナー・不動産管理会社向けプラン(居室単位)…残存家財片付け費用、葬儀費用
物件オーナー・不動産管理会社向けプラン(1棟単位)…残存家財片付け費用、居室内修繕費用
葬儀費用の補償があるのが特徴で、相続人が現れなかった場合でも、しっかりと弔って送り出すことができます。
『見守りサービス+原状回復・事故対応費用』の新しいサービスも存在する
不動産管理会社や家主は、アパートやマンションなどの(高齢)入居者の健康状態が気になると思います。 または親族であれば離れて暮らしているご家族の健康状態が気になると思います。
さらに孤独死を100%防げないことは理解しているが、最悪の場合でも早期発見を考えている方もいらっしゃると思います。
そんな時は「安否確認」と「費用補償」がセットになった、「見まもっTEL」が存在しており、ご利用者様の固定電話または携帯電話に週2回、安否確認の電話を自動音声でおかけし、確認した健康状態をメールで依頼者(家主・不動産管理会社・ご家族等の依頼者など【4名まで】)に報告するサービスです。
万一、居室内での不慮の事故(孤独死等)が発生した際は、原状回復・事故対応費用を補償します。原状回復・事故対応費用のお支払先は、対応事業者(貸主・管理会社)にお支払いします。
主なお支払い対象(補償限度額は、100万円まで)
- 原状回復費用(修繕、清掃、異臭除去、消毒等)
- 事故対応費用(遺品整理費用、遺族との連絡のための通信費等)
- 葬儀費用(最大50万円迄)
まとめ
孤独死件数の増加にともなって、非常にニーズが高まっているのが孤独死保険です。
最善策は孤独死を未然に防ぐことですが、家主や管理会社がどれだけ対策しても100%孤独死を防ぐというのは現実的ではありません。
孤独死が発生すると、状況次第ではありますが数10万円から100万円を超える費用が発生します。
また、原状回復費用以外にも損失が発生するのが孤独死のため、賃貸経営の利益を守るためにも孤独死保険や「見守りサービス+補償付き(見まもっTEL)」への加入を検討してみてはいかがでしょうか。